Oboro Zakki-Cho
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GWもあと一日。みなさんいかがお過ごしですか。
私は相変わらずグダグダと生きています。(^_^;


少し前のことになりますが、今年の3月19日にSF界の巨匠アーサー・C・クラーク氏がスリランカで亡くなりました。90歳。

1917年イギリス生まれ。1946年に発表した『太陽系最後の日』で注目を集め、最新の科学知識を基に地球と宇宙の未来像を描き、アイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインラインらとSF3大作家と呼ばれました。

海とダイビングを愛し1956年にスリランカに移住。1968年にはスタンリー・キューブリック監督との共同作業で映画『2001年宇宙の旅』の原作(映画と同時進行でのノベライズ)と脚本を執筆。SF映画の金字塔を打ち立てます。
また、静止衛星や軌道エレベーターなどの概念を考案、科学技術の振興にも寄与し1995年にリバプール大学の名誉博士号を受けました。

ご冥福をお祈り致します。



氏にはヒューゴー、ネビュラ賞を受賞した『楽園の泉』『宇宙のランデヴー』といった人気作が多数ありますが、ここのところ思い出してしまうのが1953年に発表されSF史上の傑作と賞される『幼年期の終り (Childhood's End)』です。

なぜコレを思い浮かべてしまうのかというと、世界中で騒動を引き起こした北京五輪の聖火リレー。
リレーは中国本土に戻り、北京五輪まであと100日を切りましたが、各地での騒動における中国人デモ隊の様子は違和感を覚えさせました。
「ワン・チャイナ!」と叫ぶ人々。
(今回のチベットでの“暴動”は日常的な差別や弾圧を訴えていて、独立を求めているというワケではない)


中国側はチベットは古来より自国領であると主張しますが、歴史上二度の元(モンゴル族)・清(満州族)による侵攻は、チベット社会に何ら変革をもたらさず実効支配というよりチベット仏教・文化の繁栄に寄与する結果で短期間に撤退しています。

1949年の中華人民共和国によるチベット侵略は、封建農奴制社会の解放という“目的”で行われ、翌年には全土を併合。
中国とチベット側は十七ヶ条協定を結びますが自治合意は守られず、1959年までの“動乱”により全人代副委員長に任ぜられたはずのダライ・ラマ14世はインドへ亡命しチベット臨時政府を樹立。以後、チベット民族への差別・弾圧の下、多数の漢民族が流入し同化政策が行われています。
(中国は“世界で唯一、他国を侵略したことがない国家”を自称していますが、チベットのほか、東トルキスタンやインド、ベトナムへも侵攻しています)

そうした事実を知ることができるはずの国外の中国系市民や留学生たちが「ワン・チャイナ」と繰り返す姿は異様な感じを受けました。政府の動員なのかもしれませんが、それにしても。
(…日本のマスコミも1964年に結ばれた“日中記者交換協定”によって、中国様に不利益な報道はしない・できないってコトになってるんですけどね…)
もちろん中国の人たちにも言い分はあるのでしょうが。


漢民族に受け継がれる“中華思想”(世界に文明国は中国しかなく、他は属国か蛮族)によれば、チベットのみならず周辺のアジア国家、もちろん日本も中国の一部なんでしょう。
(1997年に中国が打ち出した「海軍発展戦略」の近海防衛における“第2列島線”には、日本もフィリピンまでも入ってます)

ちなみに北京五輪のテーマは「同一個世界、同一個夢想」(ひとつの世界、ひとつの夢)というのだそうな。
「ワン・チャイナ」=「ワン・ワールド」? 正にオリンピックのスローガンには相応しい?(・_・)



さて、SFマンガなどでは“世界政府”や“地球連合”といった名称が登場したりしますが、イデオロギーの後に残った民族問題の方が厄介だという今、そうした世界を一つにまとめられるような組織が誕生することは「鉄腕アトム」を造るよりも難しいかもしれません。

そんな“世界を一つ”にするという難題を解決?してしまった小説として思い出すのが、『幼年期の終り』というワケです。


米ソが宇宙開発を激化させた197X年のある日、地球に巨大な円盤群が現れる。
宇宙人の代表者カレルレンは「今後地球は自分たちの管理下に置かれること」などを宣言する。一部抵抗を試みた国家もあったが、それに対して何の報復もない。
人類の科学を圧倒的に超越した存在は、地球の上空にあるだけで地上のあらゆる紛争に終止符を打たせることとなったのである。

人類は彼らを“オーバーロード(上帝)”と呼び、カレルレンは国連事務総長ストルムグレンを通じ国連を事実上世界政府として地球を実質的に支配する。オーバーロードたちは地球の科学水準の飛躍に寄与し、人類はかつてない繁栄の時代を迎え理想世界が築かれるのだが、彼らの目的は? 人類の直面していた最大の危機とは。そして地球の運命は…。



“人類の進化と地球の滅亡”というテーマについて書かれた本作は、発表当時その内容とカレルレンたちオーバーロードの容姿などについて、キリスト教圏からは批判の声が起きたといいます。
しかしその後は欧米でもクラークの最高傑作という評価を得て今に至ります。(日本では最初から人気が高かったようで。お国柄ですな)

映画『2001年宇宙の旅』では、ボーマン船長が“スター・チャイルド”に“進化”して地球を見つめるといったラストシーンが難解だという批評もありましたが、その15年前に既に同様のテーマで本作が発表されていることになります。
(『2001年…』では当初状況説明のナレーションが多用されていたらしいが、公開前にキューブリック監督が全部削除してしまった)


この作品は私が氏の作品に初めて触れたものでした。だいぶ子供の時分に読んだのですが、シーンごとに脳裏にビジュアルを結びながら言い知れない感動と畏怖に近い念を持ったことを憶えています。


同作はその後のほぼ全ての同種の作品、宇宙人とのファーストコンタクトや人類の更なる進化というテーマを扱った小説や映画、アニメなどにも多大な影響を与えることになります。
『機動戦士ガンダム』における“ニュータイプ”といった概念や『新世紀エヴァンゲリオン』の劇場版における展開なども、ベースにこの作品があることでしょう。

ただこのSF史上の傑作と呼ばれる作品も、最近の若い世代には受けが悪いんだとか。
まぁ『スターウォーズ』のような宇宙船がドンパチやるとかヒーローが活躍するようなスペオペがSF(娯楽)だと思っている人には、アクション・シーンが全くないマジメ過ぎる哲学的な話はつまらないのはわかりますが。(^_^;
(『スターウォーズ』は私も好きだけどさ)



私たちがこの地球で生きているということは、人智を超えた大きな力・意志とでもいうものが働いているのだと思います。人によっては、それを霊的な存在であると思ったり、神と呼んだりするのかもしれません。
(『幼年期の終り』では“オーバーマインド(上霊)”という存在がある)
最近はほぼ無宗教でバチアタリな私ですが、そういったものを全否定するほど傲慢ではないつもり(笑)

しかしながら私たちはそうした“恩恵”を顧みず意識さえせずに地球環境を痛めつけて、もう本当に危ういところまで来ているのだという気がします。
国家や民族といった垣根を越えて、為すべきことがあるはず。


そんな今において中国のデモ隊の行動が、まるで私たちそれぞれが心の奥に持つ危うい面が溢れ出しているかの如く感じられたのでした。



『幼年期の終り』の最後では旧人類と新人類は断絶してしまいます。というより人類は“一個の実在”となった新しい人類を理解することができないのでした。
人類の後継者たちはオーバーロードに連れられ宇宙へ。旧人類の代表は地球を離れるオーバーロードの宇宙船に地球の最後を実況します…。



現実の世界では、未だオーバーロードはやって来ません( ̄w ̄

もし明日、世界の終わりが来るとしたら、無辜の民を気取っていても仕方ないよね。



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■今日の“YouTube”/ Eumir Deodato

映画『2001年宇宙の旅』では、印象的なオープニングにリヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』が使われるなど、全編クラシック音楽で彩られています。
2001 A Space Odyssey Opening “Also Sprach Zarathustra” (YouTube)


1964年にブラジルでデビューしたエウミール・デオダートは、名アレンジャーとして数々のアルバムを制作する一方、1972年にアルバム『Prelude』を発表。ジャズ風にアレンジした『ツァラトゥストラはかく語りき』が大ヒットします。

Also Sprach Zarathustra / Eumir Deodato (YouTube)

その後も『ラプソディー・イン・ブルー』『ラブ・アイランド』などのヒットを放ちます。80年代からはプロデューサーとしても活躍、アース・ウィンド&ファイアー、ビョーク、小野リサなどを手掛けています。

Moonlight Serenade / Eumir Deodato (YouTube)
Keep On Movin’ / Eumir Deodato (YouTube)



幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341)) 2001年宇宙の旅 ツァラトゥストラはかく語りき
写真左より
『幼年期の終り』ハヤカワ文庫版。古本ならお安いっす。なかなかSFの古典と言われる作品って、若い人は読む機会がないのかもしれないけれど、クラーク以外にも例えば「都市」「夏への扉」「人形使い」「火星年代記」なんて作品を読んでみると、現在の小説や漫画・アニメなどの“元ネタ”がわかって楽しいと思います。
『2001年宇宙の旅』DVD版。コンピュータ・グラフィックなどない時代における特撮もさることながら、一見何の細工も施していないような宇宙空間での描写が、現代の科学的考証においても通用するという点がすごいです。ま、宇宙ステーションの威容なども圧巻ですが、後半の特撮がモノ凄いことは間違いないです。
『ツァラトゥストラはかく語りき (Prelude)』1972年にCTIレーベルから発売されたデオダート名義のファースト・アルバム。“フュージョン”という言葉の無い時代に既にジャズ、ロック、クラシックなどを融合していました。


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そうですか、アーサCクラーク亡くなったのですか。残念です。そういえばこの間 2001年の古本を手に入れたとこでした。またゆっくり読んでみますか。クラークというと上品なイメージで、ホント「2001年」と「幼年期のおわり」くらいしか読んで無いですね。映画の印象の方が強烈です。

ロイシャイダーも出てたし、
「星でいっぱいだ」「デイジーでいじー、、」いや、よかったなぁ。

【2008/05/07 Wed】 URL // やま # [ 編集 ]
コメントありがとうございます
> やまさん

そう、お亡くなりになりました。
熱烈なファンというわけじゃなかったですが、残念です。
ロイ・シャイダーは『2010年』のフロイド博士ですよね。私、その映画版は観て
いないのです…(^_^;
ちなみに小説はさらに『2061年宇宙の旅』『3001年終局への旅』と続編がありま
すが、こちらは読んでもおりません( ̄w ̄
【2008/05/19 Mon】 URL // NOB # [ 編集 ]

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