Oboro Zakki-Cho
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IRA02.jpg


さて、またまた長いですが、続きです。(^^;

IRA(アイルランド共和国軍)が誕生した1919年、シン・フェイン党はアイルランド独立を宣言します。これを認めないイギリスとマイケル・コリンズが指揮するIRAとの戦闘が1921年まで続きますが、同年12月、アイルランド臨時政府首班のデ・ヴァレラとイギリス首相ロイドとの首脳会談で「英愛条約」が締結され、アイルランドはイギリス連邦自治領、アイルランド自由国として自治権を得ます。


しかし、アイルランド自由国として認められたのは南部の26の県で、北部のアルスター9県は自由国から除かれたこと、イギリス国王への忠誠誓約が盛り込まれたことは、共和国設立を目指すデ・ヴァレラの要求を完全に満たすものではありませんでした。

IRAは、マイケル・コリンズら条約賛成派の自由国軍グループと条約締結に反対するデ・ヴァレラ派に分裂します。
そして条約の賛否を問う国民投票でデ・ヴァレラら反対派が敗れると、反対派は武装蜂起し内戦が勃発、独立の英雄コリンズは反対派により殺されてしまいます。
内戦を口実として北部アルスターはアイルランド自由国からの完全な離脱を宣言し、多数派のデ・ヴァレラ派IRAは自由国に対して反乱を続けることとなってしまいます。
IRAは自由国に決定的打撃を与えられぬまま、逆に苛酷な弾圧が加えられます。またIRAを支持する人も活動費の負担に耐えかね、次々に離脱し弱体化、アイルランド自由国内のIRAは1940年代には消滅してしまいます。
ところが北アイルランドでのIRAは、ナチスから援助を受けたり、冷戦時代にはソ連やリビアからの支援や左派系テロ組織との交流により、活動を激化させるようになります。

アイルランド自由国から離脱した北アイルランドでは、カトリック市民への徹底的な差別が行われました。IRAに協力させないために数百人が虐殺され、数千人の家が焼かれるという見せしめも行われます。
その間、自由国側は1937年に新憲法を施行、翌年にはイギリスが独立を承認し、イギリス連邦内の共和国となり、1949年には連邦も脱退し、アイルランド共和国となります。
しかし北アイルランド9県のうち6県(アルスター6州)はイギリス連邦の自治領として留まり、1960年代になるまで、IRA以外のカトリック解放運動はほとんど起きないままとなってしまいます。

1965年には北アイルランド首相と共和国首相が紛争解決のために会談を行いますが、66年には北アイルランドで、アルスター義勇軍(UVF)が復活し、カトリック系市民への爆弾攻撃などを行います。UVFは非合法団体とされますが、逮捕者が出たことは一度もありません。
1968年10月にはカトリック系市民の公民権デモが計画され2000人が集まりますが、アルスター警察の取り締まりで90名近くが負傷し37名が逮捕されました。この様子はテレビによって全世界に報道され、イギリス国民でさえよく知らなかった北アイルランド問題が世界に知れ渡ることになります。


この後、イギリスは北アイルランドに治安維持のため軍隊を派遣するようになり、アルスター警察やUVFなどのプロテスタント系過激派とIRAによるテロ合戦が活発化しますが、1969年にIRAは武力闘争を望まないグループが離れ、残った組織は“IRA暫定派”と呼ばれるようになります。

1971年、北アイルランドは裁判無しで拘禁できる制度を導入、警察国家となり、約2000人を拘禁し数百人を拷問にかけるという弾圧が続きます。
1972年はロンドンデリーにおけるデモに対する弾圧で13名の犠牲者がでた、「ブラディ・サンデー事件」をきっかけに、1年間に死者470名、10000件を超える銃撃、約2000個の爆弾が仕掛けられるという事態となり、531人の逮捕者を出す北アイルランド紛争史上、最も悲惨な年となりました。

1980年代まで続くサッチャー政権はIRAに対してまったく譲歩する姿勢を見せませんでした。これに対してIRAはプロテスタント系市民を標的とした無差別テロを激化させ、その報復としてイギリス軍やプロテスタント系テロ組織が、IRAメンバーやカトリック系市民を殺し、さらにIRAに同情や支持が集まるという負の連鎖が続きます。

しかし90年代になると冷戦終結とともに世界の政治も大きく変わり、北アイルランドの住民もテロや暴力に嫌気がさすようになってきます。民間人攻撃ではもうIRAは支持を集められなくなってきました。
そこにイギリスで誕生したブレア政権はIRAとの対話路線を打ち出し、就任わずか1年後の1988年、IRA暫定派は停戦を発表し和平合意に至ります
カトリック側が北アイルランドのイギリスからの分離と南北アイルランドの統合を唱えるのに対し、プロテスタント側がイギリス残留を主張して調整は難航するものの、多数の住民が支持する限り、北アイルランドはイギリス領にとどまり、新たに北アイルランド地方議会を開設し自治権を確立し、この和平案への承認を求めるため、北アイルランドでの住民投票とアイルランドでの国民投票を1998年5月に実施するという合意を取り付けたのでした。


しかしIRA暫定派から過激派メンバーが離脱し“リアルIRA”を設立。同年オマーのショッピングセンターでの爆弾テロを決行し、29名の市民が死亡、200人以上が負傷する大惨事となります。この事件にはアイルランド中から非難が上がり、多くのメンバーがリアルIRAを脱退してしまいます。この結果リアルIRAも一方的に休戦を発表しますが、その後活動を再開。2000年にはロンドンのMI6本部、2001年にはロンドンのBBCなどでテロ事件を繰り返し起こし、2004年12月に発生したベルファストにおける連続爆発事件は和平合意の一時停止の原因となるなど北アイルランド紛争の平和的解決にとって、リアルIRAは大きな障害の一つとなっています。


北アイルランドの自治権はIRA暫定派の武装解除の進捗と共に復活したり解消されたりと一進一退の状況が続きます。
2003年11月の北アイルランドの自治議会選挙では、プロテスタント強硬派の民主統一党(DUP)が、30議席で第一党となりますが、IRAの政治組織のシン・フェイン党も24議席と躍進。しかしこれが気にいらないDUPのペイズリー党首は「今後も一切、シンフェイン党とは協議・協調しない」と反目姿勢を示し、自治政府早期再建は望み薄になります。

IRA暫定派は2005年7月に武装闘争放棄声明を出し、IRAに解散要求を突きつけるプロテスタント強硬派が、この声明を受けてどのような対応姿勢を示すかが注目されましたが、
10月、シン・フェイン党関係者による北アイルランド自治政府庁舎でのスパイ事件によって、プロテスタント系政党は一層態度を硬化させます。
この事件により、現在の北アイルランドはイギリス中央政府による直轄統治になっています。
しかしこの関係者は自分はイギリス警察やイギリスのスパイ組織のスパイであり、この事件は警察当局が仕組んだもので、作り話だったと暴露します。

このようにいまだに続く対立要因は極めて複雑なのですが、イギリス政府とアイルランド共和国政府は、北アイルランドの早期治安回復のために、合意の実行を押し進め最初の記事の法整備計画を提示したという状況にあるのです。


最後に。1949年に独立を果たした南部のアイルランド共和国にも、当初はプロテスタント系住民が多数住んでいました。しかし現在はゼロになっています。
南部26県でも、目に見えない静けさと長い時間をかけて、しかし確実にエスニック・クレンジング(民族浄化)は行われたのでした。



※長くてごめんなさい。読んでくれた方、ありがとうございます(><;


■今日の“YouTube”/ U2 その2


アイルランドのロック・バンド、U2の2回目~。
1983年に発表されたサード・アルバム『WAR(闘)』。ブリティッシュ・イノベイション、ニューウェーブの波にも乗って、U2の出世作となりますが、デビューアルバムで可愛らしく微笑んでいた少年の顔は大人びて、鋭い視線をこちらに投げつけます。


New Year's Day / U2 (YouTube)

ポーランド自主管理組合『連帯』の尽力による武装解除について歌っています。


Sunday Bloody Sunday / U2 (YouTube)

本文中で触れた72年の「ブラディ・サンデー事件」について歌っています。
映像は88年にリリースされた『Rattle and Hum (魂の叫び) 』の同名ビデオからのものです。会場はアイルランド移民が多く流れ着いたであろう、米西部アリゾナ。
アイルランド系アメリカ人に呼びかけ、「革命なんてクソ食らえ!」、「もうたくさんだ!」と絶唱します。


Two Hearts Beat As One / U2 (YouTube)

『WAR』からもう一曲。ピーター少年出演♪


WAR(闘) 魂の叫び Apple iPod U2 Special Edition [MA452J/A]

写真左より
『WAR(闘)』、『Rattle and Hum (魂の叫び)』、『Apple iPod U2 Special Edition』


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そういえば、Enyaもアイルランドでしたっけ?
ん~、脳が老化してるから、忘れてしまいますたw
【2006/10/18 Wed】 URL // ZENRA-MAN # [ 編集 ]
頭がついていかないさくらです(;´∀`)
お久しぶりです^^
寝起きというのもありまだ脳内覚醒しておらず。・゚・(ノ∀`)・゚・。
【2006/10/18 Wed】 URL // さくら # [ 編集 ]
日本人は。。
民族というものについて
たぶんに自分のなかでの固定した考えが定まってないとおもわれます。

民族の苦しみ、悲しみ、嘆き、喜び、幸せ・・
そういうものは
実際にそのなかに入ってみないと

はかりしれないとおもいます。


なので。。

民族やら人種やら
まったくもって無関心に

のほほ~んと日本で生きているuraraは・・・


これから勉強せねば!

とおもいます。
【2006/10/18 Wed】 URL // urara # [ 編集 ]
日本は単一民族という意識が強くて、こういう問題には疎いですよね。
本当は同じではないんですけども。

IRA問題は、民族・宗教・思想が見事に不調和を起こしているというのが私の印象です。不勉強で申し訳ありません。

うまくいえないんだけど、昔「パタリロ」のなかで未来のパタリロが
「僕らの時代の地球は国同士ではなくて州制度になっていて、調和が
取れるまで話し合った」というセリフがあります。
地球という国にしてしまったのが、パタリロの未来の世界です。
そんな平和な時期は訪れるんでしょうか。
【2006/10/18 Wed】 URL // 風来ノラ # [ 編集 ]
いや~~~
まずお礼を。(^^)ありがとう。とても興味深いお話しでした。
なぜカトリックとプロテスタントをこんなにも仲が悪いのでしょう。
というか戦争や内戦はほとんどが宗教から来てるといっても過言ではないですよね。その点日本は無宗教みたいなものですから内戦もほとんどなく仏教の宗派が違っても「あ、そう」みたいなものでそういうところでは平和ですよね。しかし長い争いですね。これ男女差別ってとらないでね。(^^)どうせ指揮をとっているのは男でしょ!。男はすぐ武装に走るから。国 州 県 市などの長を女にしたら少なくともドンパチ戦争はなくなるし 文化も発達してそれはすてきな国になると思いますよんo(*^▽^*)o~♪理数系と体育会系がそろうと戦になるそうですよ。

それからますますキリスト教のお勉強したくなりました。今旧約聖書のモーセを勉強中です。もっと色々教えてくださいね。
いつも為になってます。マイケル・コリンズ この人物は何かの文献で読んだことありますよ。(^^)ありがとう~~~。
【2006/10/18 Wed】 URL // shisuta # [ 編集 ]
NOB様
イギリスとアイルランドの「おん念」を背景にした世界的な紛争。。。
そういえば、10年位前まではIRAに捉えられ拷問を受けた本人とその家族のその後。。。なんてドキュメンタリーや、イギリス国内での爆発テロなんて当たり前のようにニュースで流れてましたけど。。。
すっかり忘れていました。
7・8年前にマイケル・コリンズを見て感銘したのを覚えてます。

過去の出来事として忘れていた事でしたが、こうして時々振り返るって必要ですね。過去から学ぶ、学んでも忘れるトップ達。。。この部分はきっと繰り返していくんでしょうね。
あの911だって本当の本当はバックに。。。危ないから言いません。。。


【2006/10/18 Wed】 URL // アザリア # [ 編集 ]
最近脳みそが活字離れしてるせいか....
む、難しいな~ バカちんの脳みそでーす(^^;)
なさけねぇ~ v-11
【2006/10/19 Thu】 URL // キムネエ # [ 編集 ]
コメントありがとうございます
みなさん、長文読んでいただいてお疲れさまです。ありがとうございます。

> ZENRA-MAN さん
エンヤはそうですよ~♪ ウチにもオリジナル・アルバムは全部あります。
ZENRA-MANさんの歳で老化しているなら、私はいったい…(T-T

> さくらさん
わ~い♪ おひさしぶりです、ありがとうございます。
おかげんいかがですか。姪っ子ちゃんはあいかわらずカワイイですか(^▽^
私は最近、起きてしばらくしても覚醒していないようです…。

> uraraさん
日本人は民族についての考えがないというより、意識して来なかったのでしょう。
実際は日本にも少数民族はいます。その方たちは常に差別と戦っている。
だが一方の私たちは、日常そんなことを考えもしませんよね。
だから喜びも悲しみも、幸せも嘆きも感じることがない。
それはちょっともったいないというか、不幸なことでもあると思います。

> 風来ノラさん
北アイルランドとIRAの問題は、800年も前に遡る複雑な話なんですよね。
ちなみに12世紀にケルト人同士の内戦が続くアイルランドのことを、時の教皇が
「イギリスの領土である」と発布したのがイギリス侵攻の要因です。その教皇は
イギリス人だったのですが~( ̄- ̄;

パタリロに限らず、マンガやSFの世界では地球連邦とか世界政府といった組織が
よくでてきますね。現状では火星で人が生活するよりも難しい気がします…。

> shisuta さん
そうですね~、もともとプロテスタントはカトリック教会やローマ帝国の腐敗に
対して改革を求めたのがはじまりですが、ルターのドイツをはじめとしてその
抗争は結局は政治権力抗争になって内乱となり、分派を生み出しました。
以前にも少し書きましたけど、宗教は人間の発明した素晴らしい「装置」だと
思います。でも酒酔い運転の自動車と同じで凶器にもなるし、どうしても時の
権力と結びつきやすいです。それは宗教が悪いわけでは決してありません。
女性を国の長にですか。ん~、一度は試してみる価値はあるでしょうね。。。
「マイケル・コリンズ」はアザリアさんが書かれたように映画にもなってます。
非常に聡明な人で早世したために、若々しくて力強く、アイルランドに自由を
もたらし勇気を与えた英雄としてのイメージが人々に残っているようですね。

> アザリアさん
どうしてもテレビでの報道では、イギリス側の発表に寄りがちでIRAは単なテロ
組織としてしか扱われませんよね。もちろん市民を巻き込むテロは許せませんが
実際はどっちもおんなじことをやっているのです。
イギリスの民族衝突を描いた映画としては他に、メル・ギブソンが13世紀末の
イングランドに侵略されていたスコットランドの英雄、ウィリアム・ウォレスを
描いた『ブレイブハート』とかもありますね。昔からずっと同じことの繰り返し。
9.11はちょっとまだわからないことが多いというか、ヤバすぎて書けないこと
ばかりですね( ̄▽ ̄;

> キムねえさん
いいえ~、私もおんなじです。パソコンがなかったら漢字が書けません(^^;
どうにかしちくりぃ~♪

【2006/10/19 Thu】 URL // NOB # [ 編集 ]
宗教や民族が絡むと、どうしても問題が長期化しがちですね。
1代だけで終わる問題ではなく、その子孫も継続的に同じ感情を持ち続けるからでしょうか…?
泥沼化すればするほど、お互いの粗探しみたいな、より意味のない争いになっていく気がするのですが。
【2006/10/19 Thu】 URL // とりじろう(♀) # [ 編集 ]
コメントありがとうございます
> とりじろう(♀)さん
そうですね~。宗教や民族絡みは長期化…というか、血や信仰は変えられませんからね。
和解というか、合意の先送りの繰り返しという状態でしか話ができないのが、実際の
ところでしょう。
日本のいいところは、官僚型社会主義国家などと言われても、政教分離・戦争放棄の
二点です。しかしどちらもなんだか雲行き怪しいですけれど…。
【2006/10/19 Thu】 URL // NOB # [ 編集 ]
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このコメントは管理者の承認待ちです
【2013/06/18 Tue】 // # [ 編集 ]

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アイルランド''(アイルランド語: アイルランドよ、永遠に)| 位置画像 =LocationIreland.png| 公用語 =アイルランド語、英語| 首都 =ダブリン| 最大都市 =ダブリン| 元首等肩書 =アイルランドの大統領|大統領|
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